パートワークとガンダム00。

雑誌にパートワークというジャンルがあります。

本来、書籍で一冊で発売されるような画集や、入門書、歴史ものといった高額な書籍の内容を、週刊、もしくは隔週刊で小出しに発売し、全て集めると全集が出来上がるというジャンルの雑誌です。分冊百科とか言ったりもするのかな。

一冊当たり500円前後の価格設定が大半*1
日本ではデアゴスティーニジャパンが大々的に始めて*2、延々とトップを走り続けています。

最近では、実用・読み物だけでなく、ラジコンや模型のパーツを付けて、買い揃えると模型等が完成するというパーツマガジンという形態も増えてきています。



デアゴスティーニのとる、この商法の基本戦略第一歩は「取り合えず創刊号を大量に売りさばく」です。

始まると完結するまでに1年〜2年かかるだけに、途中で購入を止める読者が多いので、まず、スタートラインに立つ読者を大量に確保する訳ですね。巨大な分母の創造です。そして、途中の脱落者をだしながら*3最終号まで引っ張り続ける訳です。



パートワークが成功するかしないかは、良い企画と共に、この創刊号読者の獲得が大きな鍵になるので、その部分にかなりの投資がされます。

まず、価格面での投資。創刊号は通常定価の半額以下というのはザラ。下手をすれば、190円・100円の世界です。「安いし、とりあえず買ってみるか」と思わせる価格設定で読者の興味に訴求します。

そして、その投資を効果的に活かす為に行われる投資がテレビCMの大量投入。発売前日から、対象読者層を狙った時間や番組に大量のテレビCMを流し、興味をひかす。

このコンボによって創刊号読者を掴み、最終号まで付いてきてくれる読者を少しでも多く確保する。

最近では、やや翳りも感じられるものの、パートワークというジャンルにとっては、この戦略が王道といえるでしょう。



さて、ここで、新しく講談社から「機動戦士ガンダム00」のパートワークともいえる 「機動戦士ガンダム00オフィシャルファイル」が創刊になりました。

機動戦士ガンダム00オフィシャルファイルvol.1 (Official File Magazine)

機動戦士ガンダム00オフィシャルファイルvol.1 (Official File Magazine)

ターゲットがコアなだけに、一般のパートワークのように大量の配本がある訳ではありませんが、ここはパートワーク商法の王道として、創刊号を少しでも売りさばくべく、講談社さんは一計を案じました。

市販されているガンダムのカードゲームで使えるプロモーションカードをオマケに付けたんですね。

うん。

オマケを付けるという作戦は間違いではない。

それはアリです。

確かに売れましたよ。



そのカード目当ての「大人買い」でしたけどね。


「売る」事だけに気を割いて、多くの読者の事に気が行ってない辺りが、いかにも講談社クオリティ。

まとめ買いされちゃったら、本当に欲しい読者を囲い込めないでしょうに…。

いつもながら、詰めの甘い所ですなぁ…。

*1:模型等のパーツマガジンは除く

*2:正確には同朋舎。デアゴスティーニは同朋舎からパートワーク部門が分かれた形

*3:2号の段階で半分以上減る事も…