方法論として。

架空の線上』kenkaian様の8/25付エントリー『書店で『デスノート』が手に入らない理由』から覗きにきていただいてる方が若干おられるようなので、それっぽいお話を。


売れ筋商品が手に入らない、出版社や取次ぎが必要数を配本してくれない等、該当エントリーで書いておられる事も、コメント欄で紛糾したり嘆いたりされている事に対して、私も同感であります。

それを踏まえた上で。嘆くだけでなく、こういう事もやってみてはどうでしょう?というお話。もちろん、私程度の者が書くような事ですので、「既にその程度の事はやってるよ!」という方もおられるかとは思いますが、まぁ、参考までに。


「出版社や取次ぎが書店を見てくれない」というのであれば、見せ付けてやったらどうでしょうか。
出版社も取次ぎも、一軒一軒の書店が見えないから取次ぎへの丸投げ→パターン配本になる訳で、ならば、出版社へ自分の顔を売る事を考えてみてはどうでしょう。

会社の上司に紹介してもらうでもよし、会合や説明会に潜り込んで直接売り込んでもよし、とにかく、出版社の営業の人間と、まずは知り合う事から始めます。出来ればコミック担当部署のエライ人がベストですが、それが無理ならまずは誰か取っ掛かりになる人と知り合いましょう。
知り合ったら、その後、関係を継続しましょう。その出版社の商品の売れ行きデータ*1を作ってFAXしてみる、週間・月間のベスト*2を送る、出版社に協力してもらい、フェアをして、そのデータを送る*3、等。とりあえず、自分の名前を売り込みます。
新刊データを送る場合、前もって電話をして、向こうが関係ない部署の人間の場合、データを送りたい旨を伝え、コミック担当部署の人間を紹介してもらうのも良いでしょう。

そうして少しでも名前を憶えてもらったら、次は「お願い」をしてみます。
いきなりデスノート全巻、各30冊ずつくれ!」という無茶を言ってもアレですが、「独自企画でフェアをしたいのでアレとアレを揃えたいのですが…」とか、「今月一巻が発売になったアレ、スグに売れちゃったんです。なんとかならないでしょうか?無理なら重版の予定は?そこからの手配はしてもらえないでしょうか?」等。

ここでお願いを聞いてもらえて、商品を手配してもらえたなら、入荷時にその報告*4とお礼、新刊なら毎日とは言わないまでもマメなデータの提出、フェアなら頃合を見た経過報告と最終的な報告とお礼。
無論、それぞれについて、最大限の『売る努力』が必要ですが、こういった事を繰り返していく事で、徐々に信用を得る事が出来ます。
そうすれば、「今すぐデスノートを各30冊」は無理でも、「次の重版から各10冊位ならなんとか出来そう…かな?」程度にはなっていくはずです。
そして、それを繰り返し、更に信用を重ね…。


はっきり言って、大変ですし、思い通りに事が運ぶかどうか、割りに合うかどうかも保証の限りではありません(をい
しかし、作った資料は他との交渉の道具にも使えますし、やり口はどの担当でも同じですから、担当が変わっても使い回しが利きますし、一番大きいのは、こうして得た出版社からの信用や評価は、会社ではなく、本人に付いて来る、という事です。そして実力も。


まぁ、業界内で昔から言われ続けている事ではありますし、「お前はどうやねん!?」って聞かれたら「ゴメン…(;´Д`)」と言わざるを得ない部分もあるのですが、「どうやって良いかわかんねぇYo!」っていう方の参考になれば…と思い、書かせていただきました。
お仕事の参考にでもなれば何よりです。

*1:新刊なら初日・三日目・一週間・一ヶ月等。速報性が有るほうが向こうにとって役に立ちます。売れ行きが悪い商品のデータも貴重な資料なので送りましょう

*2:入荷数、売上冊数、自分なりのコメントも忘れずに。

*3:単品の売上は勿論、全体の仕上げ率

*4:○月○日にお願いしたXXが何月何日に満数or減数で入荷しました。減数になってるなら、理由を聞いてみるのも良いでしょう。